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M女性がSMを楽しみたい、もっとその世界を知りたいと思っても、なかなかその一歩を踏み出すことは難しいのではないでしょうか? そんな貴女のためのコミュニケーションブログです。

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CASE5 虐待という名の揺り籠 Rという女
ひさしぶりに、ある女性の話をしよう。まあ、ここではRとしておこうか…。
Rは幼いころから虐待を受けていた。ことあるごとにお前は悪い子だ。ダメな子だと親に刷り込まれ、同時に折檻を受けていた。その折檻は多くの場合、なじられながらお尻を強く叩かれること。そのときにおしっこやうんちを漏らしても、折檻は続いた。 彼女は18歳のバージンだと名乗った…。


彼女の自己罰的な考え方はそうやって培われていった。AC的な問題を抱える多くの子が思春期に、リスカを覚えるのは想像に難くないが、Rの場合は肛虐に向かった。自分でイチジク浣腸を買って、自己罰的な衝動にかられると、自分で薬を注入した。お腹の痛みに耐えている時、それを開放する時、スーッとその衝動が収まり、同時に罪悪感が湧いてきて、さらに自分は悪い子だという気持ちが襲ってくる。そんなループの中にいた。

もともと明るい性格ではなかったが、そんな毎日の中で、学校で友達を作るのは得意ではなく、自ずとコミュニケーションスキルは身につかず、ひとりで居ることが多かった。

高校時代にバイトで初めて携帯電話を買った。誰と電話をするというわけでもなかったが、ネットという新しい世界がそこにはあった。そのネットの世界の中で、自分の自己罰的な行動が性的な嗜好として扱われている世界があることを知った。

彼女は暗く、友達もいなかったが、頭は良かった。高校を卒業して名門で知られる大学の法学部に合格し、ついに虐待の檻から抜けだして家族と離れて生活する自由を手に入れ、法曹界で生きていくという夢も持てた。親からの援助は期待できないので、バイトと奨学金でなんとか生きている。親の軛(くびき)から解放されたが、だが彼女は思い知ることになる。あんなに嫌悪感を抱いていたはずなのに、実は自分がその虐待の中に依存していた存在であったことを…。孤独や不安に苛まれた時、Rは人の暖かさの中に安息を見い出せずに、あの忌まわしい記憶の中に逃げこむことで安息を得ていることを…。理屈ではわかっているはず。でもひどい大人に騙されて、慰みもののように扱われることが、自分の居場所であると、どうしても考えてしまう。それが、ネットで得たSMの世界と結びついて妄想を膨らませる。

悪い男に騙されてSMクラブで働かさせられて、ものように扱われたい…。彼女にとって、男はご主人様ではない。自分の闇の欲望を満たすトリガーでしかない。未成熟な彼女にとってSM行為は対人関係でもコミュニケーションでもない。そこに愛は必要ない。いや… 正確に言えば、彼女はまだ愛を知らない。彼女にとってはただ、そこが本来自分のいる場所であり、居心地の良い場所なのだという朧気(おぼろげ)な絶望と表裏一体の希望なのだ。

一人暮らしを初めた彼女は、これまで自己完結していた自分のそんな闇をリアルでは無理でも、ネットを介して人と繋がることで、より充足することを無自覚に感じ始めた。

そんなとき、RはSMサイトの主催者と出会う。まあ僕の2SHOTルームを訪れてくれたわけだ。

Rは僕とのコミュニケーションの中で、あることに気づき始める。
”お仕置き”という名の他者からの指示で行う肛虐は、これまで自己関係つしていた自己罰より、より彼女の求めるものに近かった。Rは親の代わりに自分を罰してくれる人間を求めていたのだ。当然のようにRは僕を求めた。自分を罰してくれるものとして…。

だが僕は、彼女の心を覗くために、カウンセリング的なプレイを一度はしたが、そこで彼女の自己完結した行為に気づいてしまった。僕は彼女の思うように罰することはしなかった。むしろ僕は、罰するどころかRをそのまま受け入れつつ、それが自己完結していてコミュニケーションになっておらずSMとしての機能していないことを諭そうとした。

Rは混乱した。これまでのネットでの経験では、そんなことを指摘する人間はいなかった。ただ自分は男に罰せられお仕置きをされる存在でいたいだけなのだ。 SMと人間関係にどんなつながりがあるというのか? なぜ彼はSMは双方向のコミュニケーションであるというのか? 彼女にわからなかった。まあバージンというのもうなずける。

Rは僕のもとから逃げた。僕の言うことを理解しようとしてみたが、彼女にはまだその意味が実感できなかったのだ。Rはまだスマホの向こう側に居る相手をリアルな人間として捉えることが出来なかったのだ。それでも襲ってくる自己罰的な衝動に、彼女はまた僕のもとを訪ねた。Rは僕にそれまでの非礼を詫びたが、許しを請うたのではなく、罰を望んでいた。だか、そんな彼女の想いは相手に見透かされ決して僕は彼女を罰することはなかった。

Rはいまだに、そんな混乱と御しきれない衝動の中にいる。

・・・・・・・・・・



僕は、あんまり先入観を持たずに、彼女のことを歳の割に未成熟で多くの問題を抱えている、SMの世界ではありがちのひとりの女性として、できることなら新月が彼女が探しているものを見つける機会になればいいな~って思っている。なんといっても、まだ高校を卒業して半年も経っていない。ただでさ未成熟なのは当たり前だし、さらには彼女の場合、これまでの環境がその未成熟さに拍車をかけている。僕が若者に甘くて大人に厳しいというのを差し引いても、この間のコミュニケーション不全者と同じ扱いはできない。

彼女が僕のところに、罰を求めてやってくる限り、彼女のために自分になにができか考え続けながら、できるだけのことを根気強くしていきたいと思う。


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| | 2017/02/13/Mon 22:04 [編集]
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